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個人的な日々の記録です。

石塚真一/岳

岳 (1) (ビッグコミックス)

岳 (1) (ビッグコミックス)

山を愛してやまない山岳救助ボランティア・三歩君のお話。
わたくし、山は興味皆無なのでこの漫画にもあまり興味を抱いていなかったんだけど、映画化でやたら本屋に平積みになっている昨今なのでなんとなく読んでみた。
読んでみて山に行きたくなったかというと、むしろ「絶対むり。なんでこんなところに行くんだろ」という気持ちを強くするばかり。
だってーーーー!!めちゃめちゃ怖いじゃないですか、山!!!
うーわーー・・・山の事故ってこんなことが起こるんだ・・・と驚愕することしきりだった。私が特に印象的だったのは一話目でいきなり、ザザッとだけ音をたてて雪山の崖から人が落ちていくコマ。驚くほどあっけないので、何の描写なのか最初は理解出来ないほどだった。ああ、人のいない雪山での滑落事故なんて、実際こんなあっけないものなのだろうなと現実を突きつけられた気がした。
でもこの漫画自体は面白い。
まず描くスタンスが淡々としていて、根性だけのありえない救助劇に辟易させられるようなことはない。死も生もそこには当たり前にあって、それと向き合う人たちが現実的に描かれている。一方、主人公・三歩君はともすると超人的なんだけど嫌味がない。むしろ三歩君の山への愛情、そして山に来た人たちへの愛情が、清々しいくらい大きくて、読んでいて気持ちがいいことは要素として大きい。死亡・生存問わず、発見した要救護者たちに「よく頑張った!」と声をかける三歩君。とりあえず、私もあれぐらい前向きに優しくなりたいものだと思った。
まあ、そうは言っても、三歩君のあの余りある山への愛はちょっと理解できないんだけど。