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個人的な日々の記録です。

ゴーギャン展@東京国立近代美術館


夏休み早起き企画(と言っても、世間が夏休みというだけで当人はいたって通常の週末だし、起きたのも7時半くらいなんだが)で、ゴーギャン展に行ってきた。いつもの友人にょと。
ゴーギャンの代表作『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』を中心にした展覧会。作品の数はそんなに多くないけれど、ポイントを押さえた十分満足できる内容だった気がする。
ゴーギャンといえばタヒチで、あの独特の色使いは南国の色なのかと思っていたけれど、タヒチに行く前から結構独特な色使いをしていた。『洗濯する女たち、アルル』とか、結構面白い絵だなと思った。それから、絵に枠線があるのが面白い。こんな描き方をしたら塗り絵のようになりそうだけれど、特に違和感はない。意外に印象的だったのは版画で、むしろ私はゴーギャンは油絵よりも版画の方が好きな感じがした。『ノアノア』というシリーズでタヒチで描いた絵を木彫りにしているんだけど、木彫りの生っぽい感じがとても題材と合っていると思う。
『われわれはどこから来たのか〜』は、なんとなくしか知らなかったけれど、解説を聞いてみると案外直接的な内容なんだなと思った。絵画って、意外とそういうものが多いよね。視覚での表現なんだから当たり前かと思ったけれど、そういえばその制限を越えようとすると抽象画になるのか?まあ、素人なんでよくわかりませんが。
この作品は、
 われわれはどこから来たのか : 右端に描かれた赤ん坊
 われわれは何者か      : 真ん中の赤い果実をもぐ人物(イヴ?)
 われわれはどこへ行くのか  : 左端に蹲る老婆
ということ。とてもわかりやすい。
遺作のつもりで描かれた作品だということだけれど、結局彼は自殺に失敗した。実際の遺作となったのは、煩雑に塗られた背景にひょろ長い人物が描かれた作品で、解説には『病の影響から力強さは足りないがゴーギャンらしい点も健在で』みたいなことが書いてあったけれど、私にはやはり「弱」という漢字を連想させる寂しい作品に思えた。
波乱万丈という言葉がよく使われるけれど、大概そういう人生は自ら選んだ道だったりするけれど、ゴーギャンも多聞に漏れずそういう人生だったようだ。人生に失望するのは勝手だが、家族関係で失望する資格は君にはないだろう(笑)。こういう人は「自分は他人に理解されない人間なんだ」という自覚がないと、他人を振り回すよね。何れにしても、寂しい人だったようだ。


しかしこの美術館、結構いい作品をたくさん所蔵していた。私は岸田劉生のごつごつした感じがとても好きなんだが、所蔵作品展で何点か観れたので嬉しかった。あと、以前テレビのドキュメンタリで観た今井俊満の作品も、一点だけあった。癌で余命わずかと宣告を受けながら、ガツガツと生命力溢れる作品を描く激しい人で、気になっていたので見れて良かった。あと横山大観とか東山魁夷とか、とにかく見所が多くて面白い美術館だった。皇居のお堀を望めるという立地も良いね。