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個人的な日々の記録です。

中野京子/怖い絵

怖い絵

怖い絵

電車の中の暇つぶしに会社帰りに買って読んだのだった。
絵画の登場人物や時代、作者の背景を知るには面白い本でしたよ。
「怖い」というのは強引さや著者の思い込み、押しの強さを感じる面が多々ありましたけど。
しかしこういう解説を読んでいると、絵画も時代背景や作者の人間性等々を踏まえた上で面白さが出てくるもので、なんだか「美術」というよりは「思想表現の一種」なんだなあと思いましたわ。もちろん技術力あった上での表現なんだけど。だって、かささぎが密告者を表してるとか(ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』)、昔の皇帝の起こした事件を描くことで当時の皇帝支配のロシアの体制を批判しているだとか(レーピン『イワン雷帝とその息子』)、言われなきゃ知らんがな。
昔の美術の教科書に意味不明な情景が描いてあるようなものが結構あったけれど、きっとなにかしらその時代にとっては意味ある題材なんだろうなあと初めて思い至りましたよ。この本に載っていたベーコンの『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』もその一つで、どう考えても殴り書きにしか見えないんだけど、なぜ教科書に?って思っていたよ、高校生のころ。なんで学校でこういうことを教えてくれなかったのかなあ。絵の背景なんて聞いた覚えがないんだけど、私が聞いてなかっただけかしら。
この本、2も出ているようなので、そのうち読んでみよう。