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個人的な日々の記録です。

チェ 28歳の革命

チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]

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この時系列のわかりにくさは、私に対する挑戦か?
・・・・・と思いながら観ていたんだけど、エンドロールで『directed by Steven Soderbergh』の文字を見た瞬間に理解した。そうだった、すっかり忘れていたけどこの映画の監督はソダーバーグだったんだ。相変わらずわかりにくいな、コンニャロー。私はどうもこの監督の時系列のばらし方には、さっとついていけないんだよなあ。しばらく整理して考えないと理解できない。『トラフィック』然り、『オーシャンズ』シリーズ然り。なんでだろ。
まあそれはそれとして。
この映画の内容はキューバ革命の立役者、チェ・ゲバラの話。『28歳の革命』と『36歳 別れの手紙』の2本セットの映画ですが、今回観た『28歳の革命』ではカストロと出会いからハバナ制圧の一歩手前までを描いている。ゲバラを中心に描いているのでカストロは完全に脇役でほとんど出てこない。本当に、ゲバラの映画なのだった。
誇り高いゲバラの態度は、見ていて惚れてまうがな。戦闘服にライフルを肩にかけ葉巻を銜えるビジュアルも非常にかっこよろしく、力強いスペイン語の語感も聞いていて心地よい。それだけでもう観ていて飽きない。私はウキウキしながら観ていたよ。
革命については、正直この映画ではよくわからない。キューバ革命アメリカ影響下にあるバティスタ政権の打倒を掲げて行われた武装闘争ですが、闘争の様子は描かれているけれど、バティスタ政権下のキューバで何が起こっていたのかは描かれていないので、なぜ闘争が必要だったのかは理解できなかった。ただこの映画で良くわかるのは、ゲバラの存在は闘争の中で重要だったということ。カリスマ性と言う言葉が良く使われるけれど、その誇り高い態度と、意思の強さと、公平さと、誠実さと、面倒見の良さと、それに対して自然に人がついていったのだろうなあ。映画の中ではそう思わせるエピソードが淡々と描かれている。革命メンバーの下っ端がゲバラに「ラウル(カストロの弟)が俺の悪口を言うんだ。なんて言われているのかわからないんだけど、ラウルが何か言ったら周りの皆が笑うんだ。気分が悪いよ。何とかしてくれ。」となんとも情けない相談に来るシーンがある。ゲバラはラウルをその場に呼び寄せて、事情を聞いて、誤解を解く。実際にそんなことがあったかどうかはわからないけれど、これと同じようなエピソードはおそらくあったんだろうなあ。きっとこうやって、細かい、私だったら「そんなん知るかー!」と言いたくなるような問題まで、きっちり対応したんだろう。司令官というよりは、リーダーだったんだな。それから、これは私の個人的な見解だけど、ビジュアルの良さも人がついていった要因の一つだったんじゃないかと。かっこいいリーダーに憧れるのは、自然な流れだと思うんだよね。
最後、ハバナへ向かうシーンでは、勝利に悪ノリした革命軍のメンバーが、政府軍から盗んだ赤いオープンカーでハバナへ向かおうとしたのを、ゲバラがぴしゃりと諌める。「ハバナへは、バスか、ジープか、徒歩で向かうんだ。俺だったら、盗んだ車に乗るくらいなら、歩く方がマシだ。その車を今すぐ返して来い。」そして、Uターンするオープンカーを見送った後に一言、「・・・信じられん」。この「信じられん」は良かったねぇ〜。ゲバラの人柄を象徴していて、映画の締めとしては最高だった。
ちなみに個人的には、ラウル役の人がかっこ良くて気になった。ブラジルの超人気スターなんだそうだ。ロドリゴ・サントロ、要チェックだわ。それからビジュアルの話ばかりでどうなんだと我ながら思うんだけど、最後にもう一個だけ言わせてくれ。ゲバラ役のベニチオ・デル・トロの演技なのか癖なのか知りませんが、片足に体重かけて傾いた立ち姿が、すっごいセクシーなんですよ!特に後姿!!もう、たまらん。
早く残りの1本『39歳 別れの手紙』が観たいな。いや、ビジュアルだけじゃなく。本当に!(笑)

(12本目 ★★★★☆