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個人的な日々の記録です。

福岡伸一/できそこないの男たち

できそこないの男たち (光文社新書)

できそこないの男たち (光文社新書)

以前読んだこの著者さんの「生物と無生物のあいだ」が面白かったので、この本も読んでみたのだった。
題名を見たときはどんなもんかなと思ったけど、読んだみたら面白かった。この本はフェミニズム思想の本でも男女論の本でもなく、生物学的に見た場合、標準は女性なのであって男はそこからカスタマイズされてできたものなのよという内容の科学本です。アダムからイブが作られたというキリスト教の教えを覆す生物の真相。
前半は男性となる要因のSRY遺伝子が発見されるまでの科学者たちの物語。後半は、アリマキを例にしたりてオスとメスの仕組みの解説。
アリマキっていう虫はメスしかいないんだけど、どんどん自己生成して子孫を増やしていくんだって。でも冬の間だけは、オスが生まれてきて、オスとの交尾で卵を産んで卵から子供が産まれる。冬の厳しさを乗り越える確率をあげるために、卵を産むという方法を採っていると。要するにオスは種の存続のためにカスタマイズされたんだと。面白いなぁ。
しかしこの著者さん、「生物と無生物のあいだ」の時もずいぶんロマンチストだなと思ったけど、今作はロマンチストぶりが満載だった気がします。文章がいちいち文学的。だから読み易いのかな。どんどん書いて欲しいです。