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個人的な日々の記録です。

京極夏彦/覘き小平次

覘き小平次 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

覘き小平次 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

夏ですし、怪談でも読んでみようかなーと手にしたこの本。山東京伝の『復讐奇談安積沼』という怪談を京極夏彦がアレンジしたお話し。怪談だからねとあまり期待せずに読み始めたけど、予想に反して面白いですな。死んだように何も感じずただ在るだけという小平次の存在が、周りの人間の心を乱す。そんなはずはない。何も感じないはずはない。そう思っている人にとっては、小平次の存在は恐ろしいというのはわかる気がする。ただ在るだけの存在なのに下手にこうあるはずという想いを重ねるから、結局自分自身と相撲をとる羽目になる。そりゃあ、良くない。
元ネタをどれくらいいじっているのか知りませんが、物語としても面白い。さすが京極先生でした。