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個人的な日々の記録です。

アイザック・アシモフ/ネメシス

ネメシス〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ネメシス〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

SFの巨匠、アイザック・アシモフ。私の中でアシモフと言ったら『ファウンデーション・シリーズ(銀河帝国興亡史)』なんだけど(←実家にあった。そして、それしか読んだことがない。)、彼はロボットものも有名である上に、そもそもが科学者で科学解説本も多数あり、現実世界でもロボット工学に貢献したという人物。なので私は、HONDAのASIMOはAsimovから名付けたに違いないと思っていたら違ったのよね。HONDAの公式発表では「Advanced Step in Innovative Mobility」だそうだ。本当か?ASIMOVに無理やりこじつけようとしたんじゃないの?と、私は未だに疑っているけれど。
それはさておき。
本作は、いづれの小説の続編でもないとされているものの、ファウンデーション・シリーズのはるか昔の話かな?と思わせる内容の作品。2222年、地球の植民人工衛星ローターは太陽の伴星を発見しネメシスと命名。パイパー・アシスト駆動を開発していたローター人たちは、地球からの独立を目指して衛星ごと太陽系を脱出した。人類初太陽系を離れたローターは、2年の歳月をかけてネメシスに到達し、ネメシスの衛星エリスロの人工衛星となり生活を始めるのだが・・・・。
登場人物にはびっくりするぐらい魅力がなかった。。。キーマンとなる15歳の少女マルレイネはイライラするくらいかわいげがないし、その母親のユージニアはすぐにヒステリーを起こすし、エリスロの施設の指揮官ジェナールは単純すぎる。なんだこいつらは(笑)と思いながら読みました。でもさすがは、アシモフ。設定が細かく、いろいろな架空の理論が根気よく説明されていて面白い。こうやって久々に読んでみると、最近のSF映画アシモフの時代の発想からあまり発展していないのがよくわかる。(この『ネメシス』は1989年、『ファウンデーション・シリーズ』なんて1950年代に書かれたものだ。)それくらい先駆者だったのだよなあ。


以下、著者のことばより。最後の一文にアシモフの創作活動の細かさが垣間見られると思いました。苦役か。

この本は銀河帝国興亡史シリーズ、ロボットもの、銀河帝国もののいずれの続篇でもない。これは一個の独立した物語である。誤解のなきよう、いちおうご忠告まで。むろん、いつの日にか、わたしは、この作品と他のシリーズとの接点をなす小説を書かないともかぎらない。とはいうものの、書くと決まったものでもないのである。なんといっても、さまざまに錯綜した未来史を書きつづるという苦役に、このわたしの頭脳がいったいいつまでもちこたえられるものやらわからないではないか?