『君の名は。』
※ネタバレ全開です。
言わずと知れた2016年大ヒット映画『君の名は。』
遅ればせながらやっと観て来た。
場内は満席近く、レディースデイだったとは言え、公開から随分経っているのに(なんと4ヶ月以上も経っている!)まだまだ人気が衰えていないことに驚く。
で。感想。
正直に言うと私は、うん、面白かったよ。面白かった。面白かったけど、でもなぁ〜〜……
というテンションになっている。
きっと中高生くらいだったら、「ヤバい!!この映画好き過ぎる!!もう一回観たい!!」となっていたのかなと思いました。
おとぎ話としてはすごく素敵なお話しだし、映像はハッとする程に綺麗だし、劇中音楽は気持ち良く響いてまるでミュージックビデオのよう。三葉と瀧くんの演劇のような台詞回しも面白い。ハマればとても中毒性の高い映画なんだろうな。
何が一番引っかかっているかというと、私は、これはあの町の人たちが助かることと引き換えに2人が出会いの記憶を失うという切ない話なのかなと思って観ていたんだよね。だって、なんの犠牲もなしに過去が覆るなんて、あまりにも都合が良いじゃない。
だから最後に2人が出会った時、えええええ??!!そうなの!?話しかけちゃうの!!??と。本当に衝撃を受けました。
随分優しいな、新海監督。
でも映像の綺麗さや気持ち良さは間違いないし、面白かったことは確かで。
この空前の大ヒットという記録の前に、どうにも余計な思考が出てきてしまうのかな。
追記:
これを書いた後、新海監督が『映画では喪失から意味を引き出す生き様を描くことが必要だと思っていたけど、2011年以降、その前提が崩れてしまった』というようなことを語っておられるインタビューを拝見しました。
でも私はむしろ2011年があったからこそ、人の力ではどうにもならないことがあるということを強烈に見せ付けられた後だからこそ、災害を回避することができたその上にまだ幸運を手にできちゃうの?と感じてしまったのだな。これは私個人の問題なのかもしれない。
ところでインタビューを読んで、新海監督にとても好感を抱きました。とても真摯に物事に向き合っている方だなと。
今回はエンターテイメントに徹したという弁を読んで、そう言われると、彼らが再会する物語の方がエンターテイメント性は高いよなと思ったり。
せっかく映画なんだから、映像もきれいで、音楽にもドキドキして、展開も予想できなくて、涙も流して、笑い声をあげて、「ああこの107分間良かった」と思ってほしい。
この映画はこれら全てを見事にクリアした映画だったし、なんだかんだ言って私も107分間きっちりと楽しませもらったのだということは記しておこうと思う。